股の間から覗いた足なし幽霊
どんな伝承か
幽霊には足がないというのが常識だが、まれには足のある幽霊もいる。多くの場合、出会った人は恐ろしさのあまり足をよく見ておらず、腰から下が有るような無いような、何やら霞んでよく分からなかったと言う。それでいて、みしみし、ぺたぺた、からんころんという足音はよく聞いている。ここに、足が全くないことを観察した沈着な医者がいる。弘前市本町で歯科医院を開業していた一戸尚二郎医博で、若いころ、たそがれどきに市内の路上で幽霊に出会った。まず足を確かめようと急いで背を向け、上体を前かがみに曲げて股の間から覗いた。幽霊の体は地面から一尺ほど浮き、足はなく、背後の建物や道路が透けて見えたという。
原典より
幽霊が出て来る理由はいろいろありますが、最も多いのは、生きている時の姿を見せようとして出て来る、いわゆる欲望型の幽霊であります。—— お化けと幽霊(大高興・1978年(昭和53年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けと幽霊(大高興・1978年(昭和53年))
『お化けと幽霊』は、大高興が昭和五十三年に青森市の北の街社から出した、お化けと幽霊と心霊現象の解説書である。仮死からの蘇生の話や霊魂論に始まり、青森県内で撮られた心霊写真の実例、こっくりさんなどの霊界通信法、天狗・寝太り・鎌鼬などに出会った話、幽霊の存在説と否定説・分類・人相学、人魂までを扱う。問答の形でお化けを語る節や観察と記録の手引きを交え、巻末に五十音順の心霊用語集を付す。