弘前城の堀の人魂は虫の群れ
どんな伝承か
著者が子どものころ、村の小学校近くの大きな木の枝に人魂がとまり、村人が大騒ぎをしたことがある。勇敢な青年たちが網で捕らえてみると、正体は夜光虫の集団であった。また、桜で名高い弘前城の堀に現れた人魂を、学生たちが捕虫網で捕らえて箱に入れ、蓋をして翌朝調べたところ、悪臭を放つ無数の虫であったという例もある。夏の暗い夜、ある病院の死体安置所のあたりから青白い人魂が抜け出し、裏庭を長くただよってから陰火とともに消えたと大騒ぎになったことも、よく調べれば、白っぽい着物の入院患者が煙草を吸って涼んでいたのを遠くから見誤ったものであった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けと幽霊(大高興・1978年(昭和53年))
『お化けと幽霊』は、大高興が昭和五十三年に青森市の北の街社から出した、お化けと幽霊と心霊現象の解説書である。仮死からの蘇生の話や霊魂論に始まり、青森県内で撮られた心霊写真の実例、こっくりさんなどの霊界通信法、天狗・寝太り・鎌鼬などに出会った話、幽霊の存在説と否定説・分類・人相学、人魂までを扱う。問答の形でお化けを語る節や観察と記録の手引きを交え、巻末に五十音順の心霊用語集を付す。