土手に残った五本の木の人影
どんな伝承か
かつてマイカルが映画館を展開していた町の、隣町との境をなす川の堤防が舞台である。津波のあと、土手には五本の木だけが残り、その枝には遺体の一部や衣服など多くの遺品が引っかかっていた。がれきの整理でそれらが片づけられたころから、五本の木の横に人が立っているという噂が流れた。夜、そこに立つ五、六人の人影を見て「首つりしている人がいる」と通報するボランティアも出た。ある日の夕暮れにも通報があり、駆けつけた若手の警察官が木の上を見上げたまま「そこに何人か」と言い続けた。ベテランが大声を出して肩を叩くと、人影は消えていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
震災後の不思議な話-三陸の怪談(宇田川敬介・2011年以降(東日本大震災関連))
震災後の不思議な話(三陸の怪談)/津波の死者の霊・幽霊/地震の予兆(井戸の水)/タクシーに乗る幽霊/震災の鎮魂と怪異