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妻の顔に重なる死んだ妾の面影

所在地東京都中央区
出典実説妖怪新百話

どんな伝承か

語り手は明治十一年二月、立身を志して郷里を出て東京へ来た。日本橋の宿屋に下宿すると、そこの女が親身に世話を焼き、やがて深い仲になった。国元には妻がいたが、女は本妻に直る日を信じて尽くし、語り手が地位を得て一家を構えるまでを支えた。だが語り手は正妻を上京させると決める。望みを断たれた女は病を得て死んだ。妻が上京して子が生まれてしばらくすると、妻はみるみる衰えた。夜半にふと目を覚まして顔を見ると、死んだ女の顔にそっくりである。目をこすっても寝直しても同じで、やがて後ろ姿も声も仕草までその女に似てきた。妻も死んだ。女の命日は十二月十五日で、妻が息を引き取ったのはその七年後の同じ日だった。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

実説妖怪新百話

『実説妖怪新百話』は、著者名の記されない明治の怪談集である。本郷駒込曙町の世外庵に住む天保初年生まれの老翁の勧めで、門下生三十六人が百物語の会を開き、武家の妻の執念、化物屋敷、狐狸の化かし、前妻のたたり、漁師の幽霊の帰宅などを、自分の見聞や親から聞いた話として順に語る。冒頭の「百物語の開筵」で会の趣向を述べ、続いて会津・三河・江州・若狭・盛岡・八戸などを舞台にした話を題ごとに並べる。

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