大火を告げた長清水池の美少女
どんな伝承か
本吉郡志津川町戸倉の長清水部落が、昭和二十八年二月二十八日に大火によって全焼したことがあった。その前々日の夕暮れ時、部落の阿部某と子供三人が長清水池を通りがかりにふと見ると、沼のほとりを一尺ほどの人形のような美少女がひとり歩いていた。あれは何だろうと不思議に思いながら通り過ぎたが、のちにそれを聞いた同じ部落の人たちは、保呂羽神社の御本尊である観音がぬけ出して大火を予告されたにちがいないと噂し合ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ)
『宮城県史 民俗編』は宮城県の県史の民俗編で、ここに収めるのは茂木徳郎が執筆した章「妖怪 幽霊」である。山・道・木・水・海・雪・家など出現の場所による分類に沿って妖怪変化を論じ、幽霊とヒトダマ・死霊・生霊の観念を考えたうえで、県内の妖怪・幽霊・動物変化の伝承を郡・町村名を添えて集める。序説・本論・事例篇・参考の順に並び、序説では昭和二十四年の迷信調査と昭和三十年のNHK仙台中央放送局の調査にも触れる。