小豆の煮汁で退治した川の主の大鱒
どんな伝承か
昔、本吉郡志津川町の戸倉に、素封家の美しい乙女がいた。いつの頃からか夜ごとにその娘のもとへ美しい若衆が通うようになり、娘は誰の目にも目立つほど憔悴していった。母が問いただすと、どうも男は化生の者らしい。驚いた両親が田束山の上人に伺いを立てたところ、策を授けられた。上人の言うとおり、小豆五石を大鍋で煮て、その煮汁を七日間、川の上流から流したところ、翌日、年を経た川の主の大鱒が死んで浮かび上がった。娘はやがて本復した。人々はその川を毒川と呼び、また鱒を煮るときに小豆を入れると骨まで煮えると言い伝えるようになったという。
原典より
昔、この地の素封家に美しい乙女がおった。—— 宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ)
『宮城県史 民俗編』は宮城県の県史の民俗編で、ここに収めるのは茂木徳郎が執筆した章「妖怪 幽霊」である。山・道・木・水・海・雪・家など出現の場所による分類に沿って妖怪変化を論じ、幽霊とヒトダマ・死霊・生霊の観念を考えたうえで、県内の妖怪・幽霊・動物変化の伝承を郡・町村名を添えて集める。序説・本論・事例篇・参考の順に並び、序説では昭和二十四年の迷信調査と昭和三十年のNHK仙台中央放送局の調査にも触れる。