御大典の年に増えた八代村の鶴
どんな伝承か
昭和三年十一月、古くから鶴の棲む土地として知られる山口県熊毛郡八代村に、この年もシベリアの方からナベヅルが次々と渡ってきた。ところが御大典の時期が近づくにつれ、不思議なことに鶴の数はどんどん増え、十一月の中ごろには百五、六十羽という珍しいほどの群れになった。御大典の瑞兆だとして、鶴を見に来る人々が押すな押すなのにぎわいを見せたという。
原典より
古くから鶴の棲息地として知られている、山口県熊毛郡八代村へは、その年もシベリヤ方面から、ナベ鶴が続々とんで来たが、御大典の期が近づくとともに、不思議やだんだんその数を増し、…—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。