満十一歳で男児を産んだ花嫁
どんな伝承か
江戸時代に下総の藤代宿で八歳で母になった娘とやの話は随筆に残るが、明治の早熟の例として挙げられるのがこの話である。上総国武射郡北清水村の平山新五衛門は、夫婦とも病弱で早く隠居したいと願い、まだ満十一歳に満たない娘ふみに、正月早々親戚から養子を迎えた。ふみはほどなく身ごもり、その年の暮れに元気な男の子を産んだ。そのとき養子の夫は十五歳、母となったふみは十一歳五か月だったという。
原典より
すると、その娘は、間もなく懐胎して、その年の暮れ、玉の様な男の子を産み落したのである。—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。