漁師を気絶させた新川沖の怪魚
どんな伝承か
二十三日午前七時ごろ、高松市花園町の漁師森本国松ほか一名が、香川県木田郡古高松村の新川の沖合で釣りをしていたところ、突然海中から四升樽ぐらいの頭をもたげて釣船めがけて突進してくる大きな怪物があった。二人はあまりの恐ろしさと驚愕に気を失って倒れてしまったが、付近にいた漁師たちが必死になって追撃し、ようやく捕えた。怪魚の目方は約五十貫、形はハート型で長さは五尺、眼の玉は風船玉ほどもあり、一見海亀のようだが尾がなく、オットセイのような指も爪もない奇怪な動物であった。直ちに香川県水産試験場へ鑑定に届けられたが、瀬戸内海はじめての怪物とあって見物人が山のように集まった。
原典より
高松市花園町の漁師森本国松ほか一名が、二十三日午前七時ごろ、香川県木田郡古高松村新川の沖合で釣をしていたところ、突然海中から四升樽ぐらいの頭をもたげて、釣船めがけて突進して来た大きな怪物があったので、…—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。