正中山の石塔が唱えた自我偈
どんな伝承か
ある師が二十歳の年、晩秋から冬にかけての百日を期して、毎夜子丑の刻に正中山の廟塔へ参り、石塔の前から座を立たずに自我偈を一晩に百遍ずつ唱え続けた。満願の夜、塔の中の石の廟がそろって師とともに自我偈を唱えはじめた。その中に一つだけ、ひときわ高い声で周りと調子の合わない塔があったが、深夜の暗がりでどの塔なのかは分からなかったという。著者は、思いが声となって聞こえる現象と考え合わせれば、これも必ずしも怪奇なものではないとしている。
原典より
満つる夜塔中の諸の石廟師と共に自我偈を誦す。—— 心霊現象の科学(小熊虎之助・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊現象の科学(小熊虎之助・1974年(昭和49年))
『心霊現象の科学』は、小熊虎之助が心霊現象を科学の立場から論じた研究書で、序とあとがきに昭和四十九年四月の日付がある。コックリ・自働書記・読心術・憑きものなどを心理学で説ける偽心霊現象とし、精神感応・交霊・千里眼・心霊物理現象を真実の心霊現象として心霊現象研究会の報告から吟味する。福来友吉が能力者とした三船千鶴子・長尾夫人・高橋夫人・三田光一の透視と念写は山川健次郎らの実験と照らして疑い、あとがきでは井上円了以来の研究史を概説する。