栗駒山で女神と契った男
どんな伝承か
安永の頃、栗駒山麓に住む桝蔵は力も強く美男で、村の娘たちの思いを集めていたが素知らぬ顔でいた。ある日、栗駒山へ狩りに入り川で汗を流していると、背後から女の声がした。女は自分は女神だといい、たちまち空を暗くして山道を歩けなくした。手を引かれて連れて行かれたのは熱い岩窟のようなところで、桝蔵は女と契った。夜が明けると女は札をくれ、これからも欲しくなったら使いを出すといった。札を大黒柱に貼ると桝蔵の家は自然と金持ちになり、彼は百を越えても若者のようであったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年))
『東北怪談の旅』は、山田野理夫が昭和四十九年に編んだ東北地方の怪談集である。青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島の六県に伝わる妖怪や幽霊の話、飢饉と間引にまつわる話、江戸時代の奇談などを、一番から一六三番までの短い話として収める。各話の末尾に県名を記し、恐山や飢饉の記録にふれて東北の怪談と怨念を結びつけるまえがきと、怪談観や霊能者をめぐる回想を記したあとがきを付す。