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夢告の夜にひとりで起きた大宝神社の松

所在地滋賀県栗東市綣(大宝神社)
年代伝承(口承)
登場足助貞、野村伊助、夢告を受けた大宝神社の社掌、松の払い下げを受けた刈原の人
出典幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵

どんな伝承か

滋賀県栗太郡大宝村綣の大宝神社で、明治三十九年十月二十八日の暴風雨により、境内の高さ十間、幹回り五尺を超える大松が五十度ほどに傾き、危ない姿になった。協議のうえ許可を得て同村刈原の野村伊助に払い下げ、翌年一月六日に伐ることに決まった。その前夜、社掌の足助貞の夢に何者かが現れ、松は元のように起こすから伐るなと告げた。ただの夢とは思えず、朝早く境内へ出てみると、傾いていた大松がまっすぐに起き直り、浮き上がっていた根もすべて土の中に納まっていた。警察署や郡役所からも検分に来て、近在からも大勢が押し寄せ、ふだん信心のない者まで神威を畏れたという。

原典より

前日の晩方にも見た彼の倒れかゝつて居た大松が、奇妙千萬、元の如く垂直に起直つて居り、地上に浮上つて居た多くの根も、悉く元の地中へ納つてあるので—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)

『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。

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