氏神の森の闇を飛ぶ木の精
どんな伝承か
丹波国南桑田郡曽我部村出身の霊能者出口氏が語った話。三十年ほど前、若いころに夜遊びから帰る途中、氏神の社のそばまで来ると、境内の森の暗い木陰に、長さ三尺ほどの格子木のようなものが二つ三つ、空中をつんつんと飛んでいるのが見えた。初めは何か見当がつかなかったが、その後も何度か出会ううちに、氏神の森の老木の精だと悟ったという。
原典より
境内の森の下蔭の闇いところに、長さ三尺内の奮子木のやうなものが二つ三つ、空中をツン/\と飛んで居るのを見た—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)
『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。