中が淵に落ちて無事だった小姓の護符
どんな伝承か
紀伊の弓の名手が見つけた鶴の羽の四文字は、矢や弾をよける呪文として知られるようになったという。天明五年、将軍家の小姓新見長門守が、江戸城の田安門の外の中が淵へ馬もろとも落ちたことがあったが、この文字を肌身につけていたため怪我ひとつしなかった。将軍はこれを聞いて、この文字のことを広く人々に知らせよと命じたという。
原典より
また天明五年將軍家の御小姓新見長門守が、田安門外の中が淵へ馬と共に落入つたとき、この文字を肌につけてゐた爲め怪我をしなかったので—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)
『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。