雪中行軍の凍死者と留守の兵営の二重身
どんな伝承か
未知の心霊的力が、人の身体の外に第二の体すなわち二重身を投射し形成しうるかという議論のなかで挙げられた例である。著者は、今から二十年ほど前、弘前の聯隊が雪中行軍をして非常に多くの凍死者を出したことがあったが、そのとき淋しい留守の兵営に、二重身と見るべき数多の兵卒が帰ってきたという話を新聞で読んだと記す。遠方にいる人の幻像が目前に現れる現象は、その人の死や生命の危険に関わる場合が最も多いことを英国心霊研究協会のガーネらが精細に検査しており、この兵営の例も他の例から推してきわめてありそうなことだとされている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代心霊学(平田元吉・1925年(大正14年))
『近代心霊学』は、平田元吉が大正十四年に著した心霊研究の入門書である。欧米の心霊研究のうち確実で顕著なものの概略を示すことを目的とし、心霊写真、心霊的彫塑、発光、肢体の有形化、二重身、霊媒に伴って現れる幽霊ケーティ・キングなどの物質化現象を、マムラやハーディ夫人、エウサービア・パラディーノらの実験記録によって紹介する。序によれば旧著『心霊の秘密』の増補版にあたり、巻末に参考書目と、御船千鶴子の透視と長尾郁子の念写を論じた附録を付す。