朝日の軒先に下がった叔母のテルテル坊主
どんな伝承か
大阪の西成区に住む四十歳の主婦が、三、四年前の日曜の朝の体験を電話で語った。夫が徹夜で留守の朝、目を覚ますと、朝日のまぶしい縁側のひさしに白い人形のようなものが下がっている。近寄ろうとすると手足がしびれて動けず、よく見るとそれは日を受けて光るテルテル坊主だった。神棚と仏壇に手を合わせて座り込んでいると夫が帰宅したが、指さした先にはもう何も無かった。やがて山形の叔母が亡くなったと電報が届く。幼いころよくテルテル坊主を一緒に作ってくれた叔母で、葬式に行くと、その手箱から同じテルテル坊主が出てきたという。
原典より
あの、テルテル坊主は、あとで、お葬式に山形へ行きましたら、叔母の手箱の中にはいっていました・・・・・・同じものでした—— お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年))
『お化けについてのマジメな話』は、平野威馬雄が昭和四十九年に著した幽霊とお化けをめぐる随筆である。自ら主宰する「お化けを守る会」に寄せられた体験談や、大阪の毎日放送のラジオ番組で聴取者が電話で語った話を軸に、前世や霊媒・降霊実験など海外の心霊研究、井上円了の妖怪論、古い記録に見える犬神などの憑きものを取りあげる。体験談から死後の世界、お化けを呼ぶ方法、昔のお化けへと進む八章立てで、巻末にあとがきを置く。