外国人が建てた家に出る白髪の男
どんな伝承か
女優の小畑絹子が語った話である。九年ほど前、外国人が建てた世田ヶ谷の家に住んでいた。ある夜の午前二時ごろ、寝台で本を読んでいると、扉がぎいと開いた。見ると四十七、八歳とおぼしい白髪の外国人の男が、黒いガウンのかくしに手を入れ、上目づかいにこちらを見ている。半年後、犬がひどく吠えるので目を覚ますと、同じ男が部屋の隅に立ち、一歩ずつ近づいてきた。やがて足をつかみ、膝から腰へ手をはわせてのしかかってきたので、無我夢中で灯りをつけると、影のようなものが扉の外へすっと消えた。怖くて一日もいられず、すぐに引っ越したという。
原典より
九年ほど前、外人の建てた世田ヶ谷の家に住んでいました。—— お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年))
『お化けについてのマジメな話』は、平野威馬雄が昭和四十九年に著した幽霊とお化けをめぐる随筆である。自ら主宰する「お化けを守る会」に寄せられた体験談や、大阪の毎日放送のラジオ番組で聴取者が電話で語った話を軸に、前世や霊媒・降霊実験など海外の心霊研究、井上円了の妖怪論、古い記録に見える犬神などの憑きものを取りあげる。体験談から死後の世界、お化けを呼ぶ方法、昔のお化けへと進む八章立てで、巻末にあとがきを置く。