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いつも下女のそばに落ちた石つぶて

所在地山口県岩国市横山
年代明治期
登場計十四人の家
出典岩邑怪談録

どんな伝承か

十月中旬、山野が黄ばんで秋の景色が移る頃であった。ある夜、物が来て戸に触れ、しきりに音がする。俄かに戸を開けて外を見ても何も見えず風が空しく吹くばかりだが、庭前の砂には人の足跡が印されていた。同時に石が来て屋を打ち、以後頻々と飛来して昼夜やまない。西からも東からも、二十分あるいは三十分を隔てて、決して連ねては投げない。所は岩国横山の里、夫婦と三児、書生八人、婢一人の合計十四人の家である。家人は皆、婢が怪を誘うのだといい、石の来る所は常に婢の傍らであった。三昼四夜続き、一朝雨に逢って勢いが衰え、遂にやんだ。婢に肱鉄砲を食った者の怨みで、これを石返しというとの評も付されている。

原典より

正二是レ十月中旬ノ時、山野黄落シテ秋景移ル。—— 岩邑怪談録(広瀬喜尚(増補:今田純一/続録・編:藤田葆/付録:静間密/昭和版編集:宮田伊津美)・1976年(昭和51年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

岩邑怪談録(広瀬喜尚(増補:今田純一/続録・編:藤田葆/付録:静間密/昭和版編集:宮田伊津美)・1976年(昭和51年))

『岩邑怪談録』は、岩国藩士広瀬喜尚の怪談録に後人の増補と続録を合わせ、岩国徴古館が昭和五十一年に発行した資料集である。岩国周辺で人々が出会った化物・大坊主・生首・怪火・狐狸・天狗倒し・幽霊などの話を収め、藤田葆が編んだ『岩国沿革志』のうちの二冊を底本に、なるべく原文のまま新字に改めて載せる。広瀬の本録に、今田純一の追加、藤田の続怪談録と実事談・変死、静間密の付録五話を続け、巻末に語注を付す。

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