天雄寺へ通う行列と巡航船の惨事
どんな伝承か
昭和二十一年のこと、雄勝町の天雄寺へ、灯りをつけたり消したりしながら、まるで昔の殿さまの行列のように大勢が毎晩ぞろぞろと通うのが、向かいの部落から見えた。見える者と見えない者があり、何が起きるのかと不思議がられていた。三月二十三日の彼岸の中日、雨の降る中、女川の岸壁に横づけになっていた巡航船金華丸に、米背負いの人々や復員兵が乗り込んだ。もやいを片方放したため船は傾き、水が入って多くが海に落ちた。爪で岸壁をかきむしって死んだ者もあり、三十七、八人が亡くなった。葬式は町のはじからはじまで続き、埋葬が終わると火の玉はぱたりと出なくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。