療養院から吉方へ通う白衣の兵
どんな伝承か
昭和二十年頃、鳥取市の日赤病院の裏にあった軍療養院での出来事。深夜、タクシー運転手が白衣の兵を乗せ、市内の吉方までと頼まれた。走るうちにふと座席を見ると誰も乗っていない。吉方に着くと道の途中で三十分ほど待たされ、再び白衣の男が乗り込んで療養所まで戻った。男は料金を渡すと同時にバッと姿を消した。運転手は冷汗をかいたが、一週間ほどして同じことが再び起こり、これを話したことから鳥取市内で噂となり、新聞にも報じられた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。