空を飛んで寺の花畑へ行く
どんな伝承か
飯豊の菊池松之丞という人が傷寒を病み、たびたび息を引き詰めた時のこと。自分は田園に出て、菩提寺であるキセイ院へ急ごうとした。足に少し力を入れると思いがけず空中に飛び上がり、人の頭ほどの高さを次第に前下がりに行き、また力を入れれば初めのように昇る。何とも言われず快い。寺の門に近づくと人が群集している。訝りながら門を入ると、紅の茶子の花が見渡す限りに咲き満ちていた。花の間に亡くなった父が立ち、お前も来たのかと言う。先に失った男の子もいて、今来てはいけないと言った。門の辺りで騒がしく名を呼ぶ者があり、心も重くいやいや引き返したと思うと正気づいた。親族が水を打ちそそいで呼び生かしたのであった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。