恩給のために引き返した死神の迎え
どんな伝承か
台東区上野に住む八十三歳の老人から聞いた話。八年ほど床に就き、目もほとんど見えなくなっていたが、頭のほうははっきりしていた。その老人が言うには、死神が迎えに来たので後についていった。しかし途中で、いま死んでしまえば自分の恩給が止まり、家族が食べていけなくなると思い直し、引き返してきたのだという。同じことが二度あったと語った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。