飯盛寺の流しに立つ水音
どんな伝承か
館村飯盛寺の老方丈夫婦の寝所は、客殿と流しの間の納戸である。嵐の音に寝つかれず、ようやくうとうとした婆さんの耳に、流しの方で水を使い洗い物をする音が聞こえた。「爺さま、誰か来たようだぞい」と方丈を起こし、手燭をつけて流し場へ行ってみたが人影はない。「さては村で死人ができたか」と寝所に戻ると、方丈はすでに衣に着替えていた。「おなごの人だな」と言って客殿に灯をともし経をあげると、果たして早朝、村から女が死んだという知らせが来た。客殿の方で物音がすれば男が死んだ予兆だという。舟津村洞泉寺の老方丈も、同じ死人の訪れ方をすると語った。
原典より
二年ほど前、五所川原市の近郊を採訪していて、和島秀子さんという四十すぎの主婦から、死んで生き返ったという人の話を聞くことができた。—— 現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。