光善寺の本堂に響いた死者の音
どんな伝承か
昭和五十六年十二月、光善寺に檀家の不幸を知らせる迎えが来て、上人が出かけていった。語り手が上人を見送って奥さんと茶を飲んでいると、本堂で床を鉄の重りで引いたようなすさまじい音がした。仏がこちらの支度を確かめに来たのではと話し合い、戻った上人に尋ねると、不幸のあった家でも同じ時刻に棚か茶碗がひっくり返るような音がしたという。上人はその時すぐ、行ったなと感じたといい、語り手のもとにもすでに来ていたのだと思った。ほかの者は誰も気づかなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。