芳春寺の閉め切った部屋に吹いた風
どんな伝承か
福井県三方郡美浜町佐田の芳春寺での話。永井庵主によれば、三十二年前(昭和二十五年)に語り手の父が四十三歳で亡くなった時、庵の一室でお布施の金額と名前を書いていると、閉め切った部屋なのに一陣の風が吹き、紙片が舞い上がったという。父と庵主は同級生であった。また、檀家の者が死ぬと必ず本堂の戸が開くといい、その音を聞いて、誰か死んだなと知るのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。