血の染みた古布団と殺人の発覚
どんな伝承か
東京都江東区で伝わる話である。昭和二十一年ごろ、終戦後で物のない時期に、ある人が古い布団を買ってきてかぶって寝ると、毎晩夜中の二時か三時になると決まって胸が締めつけられてうなされた。気味が悪くなって布団の皮をはがすと、綿に血がびっしり付いていたので警察に届けた。警察が古道具屋から売り主をたどると、その布団の中で人を殺し、遺体をどこかに捨て、皮だけ替えて素知らぬ顔で売っていたと分かった。殺された人が犯人を捕まえさせ、自分も弔ってほしくて夜ごと覆いかぶさったのではないかという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。