避病棟の廊下に浮かぶ二つの顔
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どんな伝承か
西郡木造町に古びた小さな病院があった。院長は頑なな老人で、胸を病んで長く寝たきりの二人の娘を一室に閉じこめたまま、手当てもしてやらなかった。娘たちは前途をはかなんで毒薬を飲んで自殺した。院長も間もなく病院を売り払い、木造町から姿を消した。買い取って開業した医師のもとは繁盛したが、看護婦がなぜか居つかない。訳を尋ね歩くと、病院に幽霊が出るというのである。ある夜、医師が庭を挟んだ避病棟へ廊下を渡ると、耳もとで苦しげな吐息を感じ、闇の中に髪を振り乱したやせこけた女の顔が二つ、はっきり浮かび上がった。医師は祈禱師を呼んで霊を弔った。その廊下の曲がり角は、娘たちが押しこめられていた部屋であったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。
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