人魂となって散歩した嫁
どんな伝承か
大正三年八月のある晩の十時ごろ、青森県東津軽郡三厩村釜の沢でのこと。田中駒太郎の隣家から赤ん坊の激しい泣き声がするので、駒太郎の一家が戸を叩いたが誰も起きてこない。窓から入ってみると、嫁のキヌが赤子と並んで死んだように眠っていた。駒太郎の母がいくら揺すっても目を覚まさない。あきれて外へ出て話していると、海沿いの道を人魂がふわふわと飛んできて、キヌの家の入口へ吸い込まれた。まもなくキヌは目を覚まし、あちこちを飛んで散歩してきたと言ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の世界 ― 心霊科学入門(板谷樹・宮沢虎雄・1971年(昭和46年))
『霊魂の世界――心霊科学入門』は、板谷樹と宮沢虎雄が昭和四十六年に著した心霊科学の入門書である。古代の霊魂観や内外の幽霊の記録に始まり、ハイズビル事件と英米の心霊研究学会の創立、霊視・霊言などの精神的現象、物質化や心霊写真などの物理的現象、心霊治療、死と再生までを、日本心霊科学協会での実験や勝五郎再生の現地調査を交えて述べる。全十二章からなり、昭和四十二年に徳間書店から出た同題の本に筆を加え、同協会が自費出版したものである。