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土佐における六十四人の集団発狂事件

所在地高知県長岡郡大豊町岩原
登場長丞、犬神使いと噂された百姓
出典二つの怪奇な心霊現象

どんな伝承か

弘化元年、土佐国長岡郡の岩原村で村人が次々に正気を失い、百姓の長丞を犬神使いだと責めてその家に押し入った。長丞は集落から遠く北に離れた岩屋の下に住む変わり者で、そこに犬神を祀っていると噂され、村の組合からも外されていた。乱心した者たちは夜になると正気に返って働きもしたが、毎朝四ツ時になると野良仕事を放り出して道端に集まり、惣老や組頭の家に押しかけて歌い舞い、源平の昔語りまでしてみせた。その数はやがて六十四人に達した。僧や神職の祈禱は効かず、問いただされた頭格の者は、自分たちは阿波の祖父山に千年以上すむ古狸で、犬神を口実に騒いでいるだけだと白状した。藩の差配役は鉄砲を持った足軽と犬で押さえ込む策に出る。二月十二日、阿彌陀堂の境内で乱舞する群れに打ちかかって全員を捕らえると、狸を名乗る者たちは詫びて阿波へ帰ると言い、やがて正気に戻った。翌日の吟味では誰も騒ぎを覚えておらず、役人は長丞を仲間に入れるよう説いた。後に再発した十四人は五台山で大般若の祈禱を受けて治ったという。

原典より

その時に於ては、狂亂者の人員、實に六十四人を算し、定福寺の場合と同じく、氏神の境内に集まり、雑言罵詈を逞しうし、役人達の制止も一向耳に入らないのでした。—— 二つの怪奇な心霊現象(浅野和三郎・1940年(昭和15年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

二つの怪奇な心霊現象(浅野和三郎・1940年(昭和15年))

『二つの怪奇な心霊現象』は、浅野和三郎が著し、心霊科学研究会が昭和十五年に発行した記録で、昭和二十七年に再版された。前篇は弘化元年、土佐国長岡郡豊永郷岩原村で村人六十四人が狂乱し、祈禱が効かず藩の役人が空鉄砲と犬で取り押さえた事件を、野島通玄の記録『甲辰奇怪記』の現代語訳で紹介する。後篇は山梨県北巨摩郡穂坂村の旧家の娘かね代に曾祖父横森市兵衛の霊が懸かり、盗まれた不動明王の掛軸が戻った因縁を、著者の調査と甲州訪問記を添えて述べる。

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加持祈禱犬神古狸

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