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記憶をなくした六十三人への説諭

所在地高知県長岡郡大豊町岩原
年代弘化元年2月13日
登場野島馬三郎、小笠原順平、惣宰(説諭した)、惣老・吟味の場となった旅宿の主
出典二つの怪奇な心霊現象

どんな伝承か

二月十三日、六十四人のうち六十三人を宿にしていた小笠原順平方に呼び出し、筵に座らせて吟味した。誰もが穏やかな顔つきでふだんと変わりなく、正月十六日に発病してからのことを尋ねても答えられる者は一人もいなかった。野島惣宰は、騒ぎのもとは長丞をわけもなく嫌ったことにあり、妖魔は人の心の隙につけこむもので犬神の仕業ではない、今後は長丞を組合に入れて仲良く付き合えと諭し、一同は恐れ入って承知したという。最後まで暴れた女も正気に返っていた。

原典より

しかし正月十六日發病以來の事をきかれても、之に答へ得るものは一人もなく、元より愚昧な山民の事とて、神代の物語が何だやら、源平の合戦が彼だやら、一向無我夢中なのでした。—— 二つの怪奇な心霊現象(浅野和三郎・1940年(昭和15年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

二つの怪奇な心霊現象(浅野和三郎・1940年(昭和15年))

『二つの怪奇な心霊現象』は、浅野和三郎が著し、心霊科学研究会が昭和十五年に発行した記録で、昭和二十七年に再版された。前篇は弘化元年、土佐国長岡郡豊永郷岩原村で村人六十四人が狂乱し、祈禱が効かず藩の役人が空鉄砲と犬で取り押さえた事件を、野島通玄の記録『甲辰奇怪記』の現代語訳で紹介する。後篇は山梨県北巨摩郡穂坂村の旧家の娘かね代に曾祖父横森市兵衛の霊が懸かり、盗まれた不動明王の掛軸が戻った因縁を、著者の調査と甲州訪問記を添えて述べる。

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