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迷信を退けた父と出雲大社の結婚式

所在地島根県出雲市大社町杵築東(出雲大社)
年代昭和二十七年(1952年)十一月
登場著者
出典憑きもの持ち迷信――その歴史的考察(改訂版)

どんな伝承か

祖母から親子の縁を切るとまで迫られても、娘の父は迷信に屈しなかった。筋道を立てて母に手紙を書いたが、東京の兄弟を通じて妨害が続いたため、ついに腹を決めた。母を愛しているが娘も同じように愛している、くだらない迷信で娘の幸せを逃すことはできない、娘を守るためなら縁を切るのもやむを得ないが、いずれ分かってくれると信じている、と書き送ったのである。何も知らない二人は十一月中旬に出雲大社で式を挙げ、父は郷里に帰りながら母に会わずに東京へ戻った。やがて祖母から、迷信を信じた自分が誤っていた、結婚を許すので縁を戻してほしいと便りが届き、結婚写真まで求めてきた。著者がこの経緯を知ったのは結婚の三か月後だった。

原典より

私達は、この間の経過をなんにも知らされずに、楽しい婚約期間を終えて、菊香る十一月の中旬に、出雲大社において結婚式をあげました。—— 憑きもの持ち迷信――その歴史的考察(改訂版)(速水保孝・1953年(昭和28年)初版・1956年(昭和31年)新版) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

憑きもの持ち迷信――その歴史的考察(改訂版)(速水保孝・1953年(昭和28年)初版・1956年(昭和31年)新版)

『憑きもの持ち迷信――その歴史的考察(改訂版)』は、速水保孝が昭和二十八年に著し、昭和三十一年に書き加えて新版とした研究書である。出雲・隠岐を中心とする山陰の狐持ちなど、家筋に結びつけられた憑きもの迷信を、法務局が扱った人権事件、藩の触書や村の古文書、加茂町の世帯調査から集めている。狐持ちの家に生まれた著者の体験から説き起こし、江戸中期以降の新興地主への反感に起こりを求める。柳田国男が序を寄せている。

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