再発した十四人と五台山の大般若
どんな伝承か
土佐岩原村の集団発狂事件がひとまず鎮まった後、六十四人のうち十四人がふたたび気分すぐれず発症した。地下役たちが日頃から信仰する五台山高善院へ一同を連れて行き、大般若の祈禱を受けさせたところ、不思議にも全員すっかり正気に返ったという。折しもその頃、岩原村の村民とかの長丞との間で仲直りが成っていたことも、その効き目に一役買ったのではないかと語り継がれている。
原典より
今回の再發患者といふのは總計十四人でしたが、それ等を地下役達が引具して、二月二十四日五臺山に赴き、大般若の祈禱を受けました。—— 二つの怪奇な心霊現象(浅野和三郎・1940年(昭和15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
二つの怪奇な心霊現象(浅野和三郎・1940年(昭和15年))
『二つの怪奇な心霊現象』は、浅野和三郎が著し、心霊科学研究会が昭和十五年に発行した記録で、昭和二十七年に再版された。前篇は弘化元年、土佐国長岡郡豊永郷岩原村で村人六十四人が狂乱し、祈禱が効かず藩の役人が空鉄砲と犬で取り押さえた事件を、野島通玄の記録『甲辰奇怪記』の現代語訳で紹介する。後篇は山梨県北巨摩郡穂坂村の旧家の娘かね代に曾祖父横森市兵衛の霊が懸かり、盗まれた不動明王の掛軸が戻った因縁を、著者の調査と甲州訪問記を添えて述べる。