田中河内介の話にまつわる十七年の怪異
どんな伝承か
徳川夢声は昭和十八年の夏から十七年にわたり、幕末の志士・田中河内介の霊が自分に作用しているとしか思えない怪異が続いたと書いている。始まりは大正の初め、東京の京橋付近にあった画博堂の三階で開かれた持ち寄り怪談会で、見なれない男が入ってきて「田中河内介が寺田屋事件のあとどうなったかを話すと、話した者に良くないことが起きるといわれている」と語り出したことだった。以後、伊勢原駅近くのロケ先で河内介の話をした老人が卒倒しかけ、御殿場の本屋で河内介の本に出会い、贈られた本では河内介の部分十余ページがそっくり落丁になっていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
第四の世界―心霊現象のなぞをとく(田中千代松・1960年(昭和35年))
『第四の世界―心霊現象のなぞをとく』は、田中千代松が一九六〇年に著した心霊現象の解説書である。予言・千里眼・霊聴・霊言・自動書記・サイコメトリーなどの霊能から、幽霊の体験記、物質化した霊像、叩音、物体移動、心霊写真、ルルドの奇蹟、起訴された霊媒、デューク大学の超心理学までを、日本と欧米の事例を交えて扱う。東京大学教授後藤以紀の推薦文とまえおきに続く十六章で構成し、むすびで心霊研究のあり方を論じる。