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手拭の染め抜きから割れた宿の客

所在地千葉県香取市仲川岸(魚松)
年代不明(十二月・年末)
登場齋藤、榎本、角田與左衛門、容疑者、刑事、巡査、被害者
出典奇談全集 現代篇

どんな伝承か

大正五年の一月、賊はもう手も足も出なくなったのか、こそ泥を重ねるようになった。十八日には八都村朱の井の日下部勘次方から落花生、二十日には八木の田村佐一郎方から駄菓子、二十一日には高萩開墾の角田與左衛門方から米と鍋が盗まれた。二十三日の夜、榎本巡査が角田方の鶏小屋が開いて鶏が一羽消えているのに気づき、駆けつけた加藤署長らは、一度も洗ったことのない汚い手拭を拾った。そこには佐原町仲川岸の旅人宿魚松の名が染め抜かれていた。齋藤刑事が佐原へ急いで宿帳を繰ると、八都村神生の農民で二十五歳と書いた無口な客が浮かんだ。

原典より

それは乞食臭い一度も洗ったことのない手拭であつた。—— 奇談全集 現代篇(田中貢太郎・奇談全集) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

奇談全集 現代篇(田中貢太郎・奇談全集)

『奇談全集 現代篇』は、田中貢太郎が幕末から大正にかけての事件や奇談を読み物に仕立てた作品集である。明治十一年に相模の真土村で起きた松木騒動、大正十五年に千葉の久賀村一帯で起きた鬼熊の事件、香取郡の連続殺人、伊賀上野の破獄、京都の天誅などを、記録や関係者の話をもとに描き、松木騒動には筆者が大正六年に現地を訪ねた補遺を付す。播磨屋橋遺聞のように、筆者自身が創作と断る話も含む。

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