青葉に浮かんだ座蒲団大の顔
どんな伝承か
長谷川時雨が牛込の赤城下に住んでいた頃のこと。夫の三上於菟吉が、銚子にいた詩人今井白楊に誘われて遊びに行っていたが、歯を痛めて帰ってきた。留守番ができたので、時雨は翌日ひさしぶりに鶴見の実家へ出かけ、夕方に戻った。煉瓦塀に沿った路地の奥の家に着き、耳門を開けようとして、覆いかぶさる櫟の青葉へ何気なく目をやると、そこに座蒲団ほどの大きさの男の顔があり、白い歯を見せてこちらを覗きこんでいた。今井白楊の顔だった。驚いて駆け込むと、机の原稿紙に夫の字で、三富と今井が死んだ、死骸を探しに銚子へ行くと書いてあった。
原典より
* 女花子 (166)* 窓に腰をかけた女 (170)* 結いたての島田髷 (171)* 書物を返しに来る (173)* 華表の額の怪 (176)* 天井裏の妖婆 (178)* 老婆の幽霊 (…—— 日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫版・決定版・昭和13年編纂(1938年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫版・決定版・昭和13年編纂(1938年))
日本怪談実話(田中貢太郎)/幽霊と怪光の実話/怨霊と祟り・因果/死の前兆と怪音/各地の怪異実話