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納戸町の雨戸を叩く亡夫の声

所在地東京都新宿区納戸町
年代大正十二年暮(震災の年)
登場貧乏原稿書きの松井、国学者山岡寛の夫人、山岡寛、国学者・亡霊となった主人
出典日本怪談実話

どんな伝承か

震災のあった年の暮れ、安い原稿仕事を探して歩いていた松井は、帰りの電車で腹を押さえた四十がらみの女に席を譲った。女は護国寺の方だと言い、坂を下った家へ招き入れて酒を出す。夫は国学者の山岡寛で、糖尿で目が見えないという。女は松井の左頬の黒子を指し、女難の相があると笑った。松井は翌日から山岡家へ移り、やがて一家は牛込の納戸町へ引き移った。間もなく主人が世を去り、四十九日を過ぎた雨の晩、夫人と枕を並べていると玄関の雨戸が叩かれ、つらい、つらい、と主人の声が響いた。それが四晩続き、松井は夫人と別れた。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫・1938年(昭和13年))

『日本怪談実話』は、田中貢太郎が昭和十三年に著した実話怪談集を河出文庫に収めたものである。明治以降に著者が聞き集めた怪異を報告調の短文で綴り、戦地の霊験や戦死者の知らせ、狐狸・天狗・海坊主、トンネルや自動車に現れる女、幽霊写真、狐狗狸などを扱う。元本は改造社刊の『新怪談集(実話篇)』で、冕言に始まって二百を超える小話を並べ、巻末に川奈まり子の解説を付す。

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