念写前の乾板全面感光
どんな伝承か
明治四十三年十二月、未現像のまま長尾郁子に透視させた「高」と「黄天兆」の二枚の乾板が、丸亀の菊地俊諦から福来友吉のもとへ送り返されてきた。十五日の午前、福来が近所の写真師の暗室で現像すると、二枚とも膜の全面が強く感光していた。「高」の板は文字が読めないほど黒くなり、「黄天兆」の板は字こそ見えるものの全体が曇っていた。包みの紙や箱を光が通ったとはどうしても考えられず、福来は郁子の精神の働きによる現象と見た。そこから、精神を一点に向ければその部分だけを感光させられるはずだと考えたことが、念写を試す出発点になった。
原典より
所が二枚共に、膜全面が苦しく感光して居た。—— 心霊と神秘世界(福来友吉・1932年(昭和7年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊と神秘世界(福来友吉・1932年(昭和7年))
『心霊と神秘世界』は、文学博士福来友吉が著し、昭和七年に人文書院から発行された心霊研究と仏教思想の書である。御船千鶴子・長尾夫人・三田光一らの透視と念写をはじめ、霊の幻化、念動、物質化など国内外の心霊現象を実験記録とともに論じ、後半では自我・神秘世界・霊と生命を真言密教や華厳の教えによって説く。全五編からなり、この本文は昭和五十七年に心交社が出した復刻版で、梅原正紀・井村宏次らの「解説研究編」を付している。