長尾郁子の念写研究の始まり
どんな伝承か
わが国で心霊を学問として研究したのは、京都大学の精神病学者今村新吉と自分が最初だと、福来友吉は本書の冒頭で述べている。二人は一九一〇年(明治四十三年)四月に熊本の御船千鶴子の透視を調べ、同じ年の十二月には長尾郁子の念写の研究に取りかかった。郁子は四国丸亀の裁判官長尾与吉の妻で、福来と今村は丸亀へ出向いて実験を重ね、写真乾板に現れた感光から念写という現象を見いだしていった。復刻版の解説は福来のこの言葉を引き、日本の本格的な心霊研究の起点を明治四十三年に置いている。
原典より
吾等は一九一〇年(明治四十三年)四月に初めて御船千鶴子嬢の透視を研究し、同年十二月に初めて長尾郁子夫人の念写を研究したのである。—— 心霊と神秘世界(福来友吉・1932年(昭和7年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊と神秘世界(福来友吉・1932年(昭和7年))
『心霊と神秘世界』は、文学博士福来友吉が著し、昭和七年に人文書院から発行された心霊研究と仏教思想の書である。御船千鶴子・長尾夫人・三田光一らの透視と念写をはじめ、霊の幻化、念動、物質化など国内外の心霊現象を実験記録とともに論じ、後半では自我・神秘世界・霊と生命を真言密教や華厳の教えによって説く。全五編からなり、この本文は昭和五十七年に心交社が出した復刻版で、梅原正紀・井村宏次らの「解説研究編」を付している。