花の丘の神殿に並ぶ赤ちゃん
どんな伝承か
胃潰瘍で死線をさまよった大平満さんは、四日目と五日目に、それまでとは違う光景に出会った。菜の花のような小さな花が一面に咲く丘の上に、ギリシアの神殿風の石造りの大きな建物があり、中は虹のような心地よい光で満ちていた。渇きや空腹のような満たされない感覚は消え、ただ気持ちがよかった。中にはベッドが並び、赤ちゃんがずらりと寝ていて、子守の女性が三、四人いた。その一人に、ここから出て行った人だから戻ってはいけないと言われ、外へ出た途端に意識が戻った。翌日も同じ場所を訪れ、今度は言葉を交わさずに花畑へ踏み出したところで目が覚めたという。
原典より
建物の中にはベッドがいっぱいならんでいて、そこには赤ちゃんがズラッと寝てるんです。—— 臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。