締め技で落ちて見た花の平原
どんな伝承か
東京大田区の笠原弘は五十一歳。高校二年のとき柔道の地区大会に出て、締め技を決められ落ちた。そのときの光景を彼はこう語る。広々とした大平原に赤や青、黄や緑の草花が一面に咲きつくし、その美しさは言葉にも筆にも尽くせない。あたりはまばゆい昼光色に満たされ、彼方はかすかに霞んでいたので、目の前の花はいっそう鮮やかに見えた。その中に自分がただ一人いた。やがて遠くからピアノの最も高い音が長い間をおいて鳴りはじめ、次第に間隔が縮んで高さを増し、耳元ではじけるような音になったとき、師にカツを入れられて我に返ったという。締め技は頸動脈を締めて脳への血流を妨げるので、臨死に近い状態が作られるのだと著者は説明する。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション・平成)
トム・ソーヤーの変身・オメガプロジェクト・色を聴く(共感覚)・クンダリニー覚醒・時間なき世界・光の存在/光の世界・星への旅・体外離脱とは何か・脳と心の関係・シルヴィウス溝・死のリハーサルなど全章にわたり、臨死体験者の証言(弟の気持ちを知る・ベトナム帰還兵・登山家の奇跡)と、ムーディやケネス・リングらの研究、脳科学的解釈を縦横に検討。