蓮の沼の彼方に現れた写真の祖母
どんな伝承か
テレビにも登場した中原保さんの臨死体験。中原さんは昭和六十三年四月、急性膵炎で倒れ、手当てが遅れて二か月間昏睡状態で生死の境をさまよった。その間、沼か川のような場所で、あたり一面ピンク色の蓮の花が咲き乱れ、かすみやもやが立ち込めていた。そのはるかかなたに、八年前に九十三歳で亡くなった祖母の顔があった。祖母のもとへ行こうとすると、祖母は遠くから「こっちに来てはまだダメだ、向こう岸に帰りなさい」と大声で叫んだ。祖母のイメージは部屋に飾る写真そのままで、全く動かなかったという。
原典より
そのはるかかなたに、亡くなった祖母の顔があるんです。—— 臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。