ペニシリンショックの闇と眩い白光
どんな伝承か
岐阜県高山市の木村いよ子さんは、三十三年前にペニシリン・ショックで死にかけた。注射されて間もなく心臓が激しく打ちはじめ、頭の中で何かが爆発したように感じ、下顎呼吸になって、自分でも死ぬのかと思った。そのころ、言葉にならないいやな気配があたりに漂って彼女を包み、周囲は真っ暗になった。トンネルのようなものではなかったという。やがてその闇はまぶしい白い光に変わり、目ではなく意識の全体でそれを見ているのだとわかった。爆発したような感じはあったが、実際に音を聞いたわけではないという。
原典より
その闇の空間はじきにまぶしい白光に変わった。—— 臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。