わけもなく泣けた金光様への神の言葉
どんな伝承か
金光教の古い信者、才崎村の片岡次郎四郎が、明治七年に中井の出社で若い笠井吉夫へ語った話の一つである。片岡が備中大谷の本社に参ったとき、教祖の金光様(川手文治郎)からこんな打ち明け話を聞いたという。ある時、金光様はわけもなく涙が止まらなくなったので、神にそのわけを尋ねてみた。すると神は、氏子たちは信心が足りないせいでおかげを十分に受けられずにいるのに、それを神におかげが無いせいのように思っている、それが神にも情けなくてならないのだと答えた。片岡はこれを、神が人のおかげの受けそこないをそれほど惜しんでいる証しとして吉夫に語り聞かせた。
原典より
あるとき金光様はひとりでに泣けて来るので、このことを神様にお伺エなさったら、…—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。