暮れの山道に飛来した火輪
どんな伝承か
明治四年十一月十二日の夕暮れ、足摺山の峯山神から降った神官一同は、日が暮れて人の顔も見分けられぬ中をようやく小道に出た。そこから二十間ほど歩いたとき、東の方から斗ほどの大きさの火輪が飛んで来て、十間ばかり手前で忽ち散乱し、そのまま行方が知れなくなった。一同は社司北代氏の家に帰って休息したが、その夜九時ごろには再び白皇神社へ進んで拝式を行っている。鎮祭の道中で幣の振動や空からの声に遭った直後の出来事で、御届にはこれらが奇異なる事として書き留められている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。