四つんばいで追う口裂け女
どんな伝承か
口裂け女の噂は地方にもあり、語られ方はまちまちであった。共通するのは口が大きく裂けた女という点だけで、身長は一・五メートルほどのやせ型、牙があるとかないとか、追いかけてくるものもこないものもあり、秋田県角館町と福島県いわき市のものは牙がなく、追いかけてこないでただ笑っているだけ。神奈川県茅が崎市と山形県酒田市のものは夜だけ現れ、マスクをせずいきなり大きな口をあけて驚かす。京都市左京区と宮城県気仙沼市で語られたものは、追ってくるときにガオーッと声を上げ、四つんばいになって犬のように走ってくるという。著者は、口裂け女の話は単なる噂がひろがったものと思われると述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
西郊民俗126号 怪異雑考3-鬼婆(高橋敏弘・西郊民俗)
『西郊民俗126号 怪異雑考3-鬼婆』は、高橋敏弘が西郊民俗の第一二六号に寄せた論考である。秋田の「ばばあ」、安達が原の鬼婆、新潟の弥三郎ばばを各地の鬼婆の例に挙げ、数年前に小中学生の間に広まった口裂け女の噂を、東京や各地の聞き取り例で現代の鬼婆として並べる。「鬼婆について」「裂け女(現代の鬼婆)」「恐怖とイメージ」の三節からなり、終節ではラブクラフトの言葉を引いて、怖いものを見聞きしたい心理が伝承を支えると論じる。