八月八日に壁を通り抜ける怪物
どんな伝承か
山形市と東京都世田谷区に、同じパターンの怪物の話がある。年に一回だけ、八月八日の午後一一時に、アパートの二階一号室に出現し、くるくる回転しながら通り、壁に消えてしまうというものである。山形のものは頭がとんがり、目玉が大きく白目に赤い点が一つあり、口はついていない。体は棒のようで異様に細く、色はグレーである。部屋が散らかっていると狼の遠吠えのような声を発して暴れるように回転し、きれいに片付いていると、ウフフと笑うような声を出して通り過ぎるという。
原典より
高橋敏弘山形県山形市と、東京都世田谷区に、同じパターンの怪物話がある。—— 怪異雑考7-通り抜け怪物(高橋敏弘・西郊民俗) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪異雑考7-通り抜け怪物(高橋敏弘・西郊民俗)
『怪異雑考7-通り抜け怪物』は、高橋敏弘が『西郊民俗』に寄せた連載「怪異雑考」の第七回である。山形市と東京都世田谷区のアパートに年に一度、八月八日の午後十一時に現れ、回転しながら壁を通り抜ける怪物の話を取り上げ、姿・回転の仕方・出現の目的・場所・方向を比べる。両者を幽霊でなく妖怪の性格が強いものと見て訪れ神になぞらえ、後段では学校の七不思議の型を挙げて子どもの心理に触れる。