臨終の弟の前に現れた元禄袖の幼い姉
どんな伝承か
北海道胆振国久保内の佐藤ひな子の手記による。弟の病は一進一退で、秋が来ようとするころには医師も、もはや一ヵ月はむずかしいと宣告した。意識ははっきりしていたが視力が衰えていったころ、残暑の厳しい日に、弟が突然おはらいをしてもらおうと言い出した。女の子がしきりに出てくるというのである。どんな服装かと母が聞くと、黒地に小花模様の元禄袖の着物だとはっきり答えた。近所の神をおろす人のところへ行くと、それは母の子、すなわち姉に当たる子だという。母によれば、その子は誕生も来ないうちに肺炎で亡くし、二月の寒さゆえ綿入れの小花模様の元禄袖を着せて葬ったのであった。二日目、弟は不帰の人となった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の四次元(鈴江淳也・心霊・四次元・1973年(昭和48年))
『日本の四次元』は、鈴江淳也が昭和四十八年に著した超常現象の取材記である。幽霊の出る家や競馬場、古武士の怨念、守護霊、心霊写真、新幹線の四次元地帯、心霊治療、物品引き寄せ、てのひら療法、比婆山の怪獣やツチノコ、死後も占う易者犬などを、当事者を訪ねて聞いた話として記す。「幽霊と怨念の世界」から「動植物の驚異」まで六部に分け、あとがきで大陸書房刊『日本の奇談』『現代の怪奇』に続く第三弾と述べ、問い合わせ先を挙げる。