和歌山医大で看取った牟婁病の老婆
どんな伝承か
戦後まもない昭和二十三年、和歌山医大の精神神経科に、舌がもつれて言葉が出ないと訴える農村の老婆が外来でやって来た。木村潔教授らにも原因がつかめず通院を続けるうち、手首に奇妙なくぼみが現れ、やがて全身に広がった。牟婁病ではないかという教授たちの胸騒ぎは当たり、右手、左手、足と次々に動かなくなり、足は骨ばかりにやせ細った。あらゆる治療を試みても効き目はなく、ついには喉の筋肉まで冒されて息ができなくなり、三年目に亡くなった。意識ははっきりしたまま体の自由を奪われるこの病に、医大は総力を挙げて取り組むことになった。
原典より
こうして、とうとう呼吸もできず、三年目に死んでいった。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。