交霊会で踊りだした三体の人形
どんな伝承か
心霊研究会の助手・松代きぬ子が、著者に無断で服部霊媒と水原きくに誘われ、大田区の立派な家で開かれた交霊会に参加した。午後八時から始まった会では現象が次々と出て、中でも目覚ましかったのは人形の踊りで、三体の人形がまるで人間のように同時に日本舞踊を踊り出した。だが夜食の酒の席で服部は「研究会は手当を出さないから現象が出ない。今夜はアルバイトだ」と本音を漏らし、普段はやらない水晶珠の引寄せまで見せた。きぬ子は一晩に二、三万円も払う価値はないと幻滅を語った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私の心霊術(長田幹彦・1955年(昭和30年))
『私の心霊術』は、長田幹彦が昭和三十年に著した心霊研究の随筆集である。死後に残る霊や地獄・極楽をめぐる考えを述べ、熊本の家系や安達謙蔵との交わり、東京放送局の文芸顧問だったころの回想、霊友会など戦後の新興宗教への批判、前著『霊界』への反響と自らの信仰を語る。「心霊科学の来世観」「霊界の構造」「ぼくの信仰」などの章からなり、末章「ある霊媒の生態」では霊媒服部との実験とそのトリックの顛末を描く。