白木屋の窓から降ってきた女たち
どんな伝承か
震災の当日、著者が診療所から表へ逃れると、目の前に建つ白木屋百貨店の五階建てが左右に身震いするように揺れていた。漆喰が砕けて飛び散り、辺りは土煙で何も見えない。そこへ悲鳴とともに、女が六、七人まとめて空から降ってきた。度を失って窓から飛び出したものらしい。路上に平たく伸びた姿がはっきり見えたが、駆け寄って様子を確かめるだけの余裕は誰にもなかった。揺り返しは何度も来て、線路の上では足をさらわれて立っていられないほどだったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私の心霊術(長田幹彦・昭和中期(1940年代~1950年代推定))
幼少期の地獄極楽のぞきからくり(私の心霊術)/心霊術と降霊の実演/作家長田幹彦の心霊体験/交霊と幽霊との接触/明治〜昭和の心霊文化